新しい夫婦のカタチ? 女性の共感を呼んでいる「共生婚」の実態

■「共生婚」という結婚形態に反響
先日、結婚してもセックスの関係はなく、さらにほとんど一緒に食事もとらない「共生婚」について書いた。すると、「こんな結婚ならしてみてもいい」と多くの女性たちから反響をいただいた。

意外にも女性たちの共感を得たこの暮らし方、聞いてみると、他にもまだまだいることが判明した。

■共生婚を「プラトニック結婚」と名づけている人も
「あー、うちと似たようなものだなと思いました」

そう話してくれたのは、アリサさん(38歳)だ。彼女自身は、自分の結婚を「プラトニック結婚」と呼んでいるのだそう。

「もともと友だちづきあいだった彼と、東日本大震災を機に結婚しました。私が『ひとり暮らしだと地震が怖い』と言ったら、結婚しようという話になって。2LDKの部屋を借りて、それぞれが好きなように暮らしてる。結婚前も後も、肉体関係はありません。ふたりとも仕事をしていて忙しいので、何時に帰るのかと聞いたこともないし、日々の予定を聞くこともない」

同じ家で暮らしていながら、1週間顔を合わせないこともあるとか。ただ、週末は時間が合えば、近くの行きつけの居酒屋に一緒に出かける。夫はワーカホリックに近いから、それも月に一度あれば良いほうだそうだ。

「一緒に居酒屋に行っても、ふたりでしみじみ語り合うなんてこともありません。そこは常連さんばかりなので、みんなで騒いで、気分が乗ればそのままカラオケに行ったり。夫はカラオケが嫌いなので、ひとりで先に帰っていますけどね」

夫の趣味は洗濯。妻のものもきちんと洗い、アイロンまでかけてくれる。

「最初は下着まで洗ってくれるのを申し訳なく思っていたんですが、夫曰く、『ついでだから気にしなくていいよ』とさらり。今はすっかり甘えています。私が夫のためにしていること? なんだろう……」

アリサさんはしばらく考え込んだ。

「毎年作る梅干しかなあ。我が家に代々伝わる梅干しで、私も母から教わって独身時代から作っていたんです。夫はこの梅干しが大好きだって言ってくれて」

洗濯と梅干しが、ふたりの間をつないでいるのだろうか。

「結婚して5年になりますが、ふたりで旅行したのは2回。と言っても、夫の妹の結婚式と、私の実家の法事――それだけですね。私は友だちと海外にも行っていますが、夫はあまり外に出たがらない。というか仕事が大好きなんですよ。だから、かまってほしいと言わない妻がいいみたいです(笑)」

ふたりにとって、居心地の良い結婚生活ではあるようだ。

■「新しい結婚の形」を楽しむ人たち
日本ではなかなか結婚の概念が変わらない。法律婚をして子どもをもうけて、家族は従来の「家族制度」を理想とする考え方が、今も王道だ。

ところが現実は、徐々に変わっていっている。

法律婚をしても性的な関係はもたない、必然的に子どもはできない。ともに暮らしても、それぞれが好きなように生きている。そんな生活をしている人が、予想以上に多いようだ。

「うちは犬がとりもつ縁で結婚しましたが、やはり性的な関係はありません」

ミカさん(40歳)はそう言って笑った。小型犬を散歩させているとき、同じ犬種を飼っている男性と知り合い、2年前に結婚。

「ふたりともひとり暮らしだったので、一緒に暮らしたほうが家賃も安くなるということで結婚しました。結局、家賃を払うくらいならとマンションを購入しましたが」

ふだんは仕事優先。いちばん大事なことは、どちらがその日、犬のめんどうを見るかだ。

「それに関しては、きちんと連絡をとりあっていますが、それ以外はあまり……。一緒に暮らしていても、彼がどういう人なのか、いまだによくわかりません(笑)」

ただ、ミカさん夫婦は、週に一度は一緒に食事をする。夫が腕によりをかけて作ってくれるのだという。

「彼はIT関係の仕事をしていて、ふだんはコンピューターとにらめっこ。だから週に一度、凝った料理を作るのがストレス解消なんだそうです。彼が料理を作っている間、私は2匹の犬とせっせと遊んでいます。最初は威嚇しあっていた犬たちが、今ではすっかり仲良くなっていて、それが私たちにはとてもうれしいんです」

性的な関係を一度ももっていないことを、ふたりはどう思っているのだろう。

「新婚旅行にも行かなかったし、引っ越しでふたりとも疲れていたので、しないままに3ヶ月くらい過ぎちゃったんですよね。私はそれでもいいやと思っていたんですが、男性はどうなんだろうと、一度だけ聞いたことがあります。『エッチしなくていいの?』と。そうしたら彼が『したいの?』と言うので、私は別に好きではないと答えたら、オレもと。その話はそのまま立ち消え。気楽で良いですよ」

夫婦のセックスレスが問題となるなか、それを逆手にとったような話ではある。セックスレスなどで悩む必要はないとも言える。ふたりが今の生活で満足しているのなら。

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