美容整形と幸せ……第2回『美容整形の歴史』(元看護師・現役風俗嬢 yuzuka)

こんにちは、yuzukaです。
現役風俗嬢でありながら、美容外科、精神科の元看護師という肩書きを持つ私が、「美容整形と幸せ」について語るこちらの連載。第2回は、「美容整形の歴史」についてをお話したいと思います。

美容整形がどうやって発展してきたか、皆さんはご存知でしょうか。
「そんなこと興味ない」なんて思われるかも知れませんが、実は歴史を知ることで見えてくることって、あるんです。

美容整形のはじまりは、二重術ではなかった

皆さんご存知の通り、「美容整形」は、かなりアンダーグラウンドな世界で発展してきました。因みに、この世界で1番最初に行われた美容整形って、どこの部位のどんな手術か、ご存知ですか?

目やリフトアップなんかじゃないのかなって思われがちですが、実は「造鼻術」つまりは、鼻の手術こそが、この世界で行われた1番最初の「美容整形」だったんです。

しかもその目的は「鼻を高くすること」ではありません。実はその時代、犯罪を犯した罪人は、鼻削ぎの刑という罰を受けていました。その内容は皆さんの想像通り、まるっと鼻を削ぎ取られてしまうというもので、1度罪を犯せば、顔を見るだけで「犯罪者」だと一目瞭然。一目で前科がバレてしまう、生きづらさがありました。

そこで登場したのがこの手術、造鼻術です。簡単な発想です。「取られた鼻をくっつけてしまおう」ってことですね。要は「美容整形」は、こっそりひっそりと、生きづらい人へ手を差し伸べる「裏稼業」という形で、この世に産声をあげたのです。

そこから先も、しばらくダークな歴史が続きました。造鼻術は徐々に進化を遂げ、「ユダヤ人が差別を避けるために鼻の形を変える手術」が流行しました。
その頃、「ユダヤ人差別」は白熱化しており、ユダヤ人の特徴的な鼻を持つということは、それだけで「差別の対象」でした。差別から逃れるために、鼻の形を変える。この手術もまた「生きづらさからの解決方法」として、重宝されました。

それでもやっぱり少し特殊なニーズですから、「差別から逃れたいがための最後の手段」というマイナスなイメージだけが横行し、美容整形のダークなイメージは変わらず、一般層に浸透することもありませんでした。

アンダーグラウンドから、一般層へ

そんな「美容整形」が一般層、しかも日本に流通したのは、そこからずっと先。戦争が終わり、鎖国が解かれた頃でした。ペリーの「開国してくださいよー」の後に開国した日本に、これまでなかった「欧米の文化」が、どっと流れ込んできます。

ワンピース、カラフルなお化粧品、クルっとカールした巻き髪に、甘くて美味しいお菓子……。瞬くまに日本人を虜にしたその文化は、「欧米人への憧れ」を加速させ、その憧れは、ついには見た目にまで及ぶようになります。

「なんてシュっとした鼻なのかしら」「なんてパッチリした二重まぶたなの」自分達にはないその見た目に憧れを抱く日本人のもとに伝わってきたのが前述した、「美容整形」でした。ここでようやく、今存在している美容整形により近い、「自分磨き」が目的となるような施術も流行していきます。

美と心は繋がっている

実はこの頃、美容整形の技術と評価は、グンっと急速に上がっています。きっかけは「戦争」でした。
戦争で足を失った兵士、顔に傷を負った兵士。その頃には既に「形成外科」があり、ちぎれた足から出血しないように止血して縫い付けたり、顔が膿んでしまわないように切りはりするような施術は「医療」として存在しましたが、あくまでただ「生きるため」だけの施術でした。
傷が目立たないように細かく縫合するとか、足の傷を綺麗に見せるとか。そういう「見た目を気にする」という観点は存在しなかった訳ですね。血が止まれば、ひっつけば。確かに「生命の維持」という医療の根本の目的を考えれば、それで良かったのかもしれません。

しかし、そういった傷を目の当たりにすることによって、酷いフラッシュバックに苦しんだり、傷を負った顔みて、「なんてことだ」とコンプレックスに陥る人が、後をたたなくなります。

酷い傷はコンプレックスとなり、時に人の心を蝕み(むしばみ)ます。それは、その傷の原因が「戦争」という記憶に結びつくことも理由のひとつでした。「これではいけない」と急速に進化を遂げたのが、「美容整形」の文化です。傷を治すだけではない。「綺麗」に治す。
形成外科と美容整形外科が融合したこの考えはどんどん発展をとげ、遂には「美容外科」というひとつの医療の科目として、正式に認められることとなります。

その時に先駆者が訴えたのは、「美」と「心」の繋がりです。ただ見た目を綺麗にするだけではない。見た目によって心を病んでいる人、前を向けない人の「心」を治療する。それが「美容整形」だ、と。

時が経ち、「美容整形」の敷居は、格段に低くなりました。
今では全国各地に選びきれないほどのクリニックが点在し、テレビ等のメディアでも、美容整形をプラスの意味で取り上げています。
それでも美容整形に対してのマイナスイメージは、なかなか拭いされるものではありません。「親にもらった顔なのに傷をつけるのか」「顔ばかりを気にしてみっともない」なんて言葉も、よく耳にします。この拒絶反応には、「美容整形」が特殊な形で発展してきたことも、大きく由来しています。

確かにそうかもしれません。病気でもない体に、高額なお金を払ってメスを入れるのは、そもそも「必要のないこと」なのかもしれません。それでも私は、前髪で目元を隠しながら俯いていた女の子が、目元の整形をしてから前髪を切って笑っているのをみたり、コンプレックスが改善されて、人格が入れ替わったかのように明るくなる人たちを目の当たりにしてから、どうしても「必要のないこと」だなんて思えなくなったのです。

美容整形は心の治療

美容整形は、「心の治療」です。
これは美容整形の歴史が発展してきた経緯を知れば、自ずと見えてくることです。美容整形は決して「逃げ」や「ズル」ではなく、自分自身のコンプレックスや悩みと真剣に向き合い、立ち向かっていこうと決意する、「戦い」だと、私は思うのです。

正しい歴史を知り、先駆者の考えを知ること。少し退屈な話に思えてしまうかもしれませんが、とっても大切です。施術自体の理解を深めることも大事ですが、もっともっと奥深い場所にある、そういったハートの部分を知るって、実は必要なことだと思うのです。

さて、次回は質問を頂くことが多い「ダウンタイムと痛み」や、「美容外科の選び方」について、触れていきたいと思います。皆さんの道しるべになれることを、心から祈っています。

 

Written by yuzuka