【第4回】浮気や不倫、二股でもない“オープンな複数恋愛”をする「ポリアモリー」の私について(きのコ)

皆さんは「ポリアモリー」という言葉を聞いたことがありますか?
ポリアモリーとは、「恋愛のお付き合いは1対1でするもの」という限定をせず、全員がすべての関係に合意したうえで同時に複数の人とお付き合いする、という恋愛・性愛関係のことをいいます。浮気でも不倫でも二股でもない、「オープンな複数恋愛」とはどのようなものなのでしょうか。
この連載では、複数の人に同時に恋をしてお付き合いしている私・きのコが、ポリアモリー当事者のひとりとして、私なりの恋愛のかたちを綴っていきます。

前回は、複数の人と同時にお付き合いをするポリアモリーと、単数恋愛(1対1のお付き合い)との違いについてお伝えしました。
今までの記事を読むなかで、「ポリアモリーって嫉妬しないの?」と思った方もいるかもしれません。今回は、そんな「ポリアモリーと嫉妬」の問題について書いていきたいと思います。

結論からいうと、ポリアモリーはなにも、嫉妬心をもたない特殊な人間とは限りません。もちろん嫉妬しないポリアモリー当事者もいますが、嫉妬する当事者もたくさんいます。
なんにせよ、嫉妬することを「本当に愛しているからこそ嫉妬するんだ」と過度に肯定するのでも、「嫉妬してしまうなんて私は心が狭い」と過度に否定するのでもなく、嫉妬との付き合い方を真剣に考えることが重要です。

あなたの嫉妬はどこから?

そもそも一口に嫉妬といっても、いくつかの種類があります。
デボラ・アナポール「ポリアモリー 恋愛革命」によれば、嫉妬は「独占欲からの嫉妬」「疎外感からの嫉妬」「ライバル意識からの嫉妬」「エゴからの嫉妬」「不安からの嫉妬」という5種類に分類することができます。
どんな人に対して、どんな状況で、どんな嫉妬が起こるのかは人それぞれ。たとえば私が感じる嫉妬は「不安からの嫉妬」であることが多いです。恋人が他の人とデートしたりお付き合いをしたりする時、昔からよく知っている私の友達が相手ならば大して気にならないのですが、全く知らないどこかの誰かだと「相手のことをよく知らないから感じる不安」を原因とした嫉妬が湧いてしまうことがあります。
嫉妬という感情は苦しいもの。しかし、「嫉妬して苦しい! つらい!」とその感情をそのまま相手にぶつけたり我慢して押し殺してしまったりするのではなく、その嫉妬の原因をもう少し詳しく分類してみてはどうでしょうか。

嫉妬を感じたら……

深海菊絵「ポリアモリー 複数の愛を生きる」には、嫉妬について書かれた章があります。
それによれば、嫉妬を感じたときは一人だけで抱え込まずパートナーに相談することが勧められており、パートナー同伴でカウンセリングを受けるのも有効です。
一般に私たちは、感情を個人のものとして捉えがちですが、このように、自分あるいはパートナーの嫉妬に一緒に向き合い、どのように嫉妬を取り扱うかを一緒に考える姿勢が大切です。

また、必ずしも簡単なことではないのですが、嫉妬は自分のことや、自分とパートナーとの関係性、もしくはメタモア(パートナーのパートナー)との関係性を見つめなおすきっかけになるかもしれません。
自分の嫉妬に気づいたら、「自分と相手がきちんと心を開いて話し合えていないのかも……」とか、「自分は相手と本当にこれからも付き合っていきたいのだろうか……」というように、自分を省みて、自分が本当に望んでいることはなにかを考えてみるのです。
このように、嫉妬を排除するのではなく、嫉妬を自らの鏡としてうまく利用していけるといいですね。

嫉妬の対義語・コンパージョン

ところで、嫉妬の逆の気持ちって、想像したことありますか?
自分の恋人が、自分以外のパートナーを愛している。そのことに対して、ネガティブな嫉妬ではなく、ポジティブな幸せを感じる……。これが、「コンパージョン」と呼ばれる感情で、「嫉妬」の対義語と位置づけられるものです。

ちなみに私自身は、自分の恋人が誰かに恋をして恋愛相談を受けたり、切なそうにしていたり幸せそうにしていたりするのを見ると「かわいいなぁ」と感じたりします。もちろん、自分がないがしろにされるとやっぱり寂しいし「疎外感からの嫉妬」を感じてしまうので、あくまでも「この人は他の人をどんなに好きになっても自分を好きじゃなくなるわけではない」としっかり信じられていればですが……。
また、自分の恋人たちが仲良くしているのを見ると、ハッピーな気持ちでいっぱいになります。これは、コンパージョンというより「萌え」に近い気持ちかも。
ポリアモリーなら誰でもコンパージョンを感じるとか、コンパージョンを感じられなければポリアモリーではない、というわけではないのですが、自分の愛する人が他の人を愛している時の反応が「嫉妬」だけに限らないことは、知っていてほしいと思います。

今回は、ポリアモリーなお付き合いを実践するうえでの「嫉妬」の問題について、考えてみました。
次回のテーマは、ポリアモリーの「出会い方」について。
「どちらかがカミングアウトしないと始まらないし、カミングアウトしても相手がポリアモリーである確率は天文学的なのでは?」という疑問にお答えしていきたいと思います。

 

Written by きのコ