雑弾力を身につけて、仕事のデキる人間になりたい……!(ラブホスタッフ上野さん)

【ご質問内容】
27歳彼氏なし、女性です。
私は、自分のコミュニケーション能力が低いと感じています。
低いといっても、社会生活を送る上で支障があるレベルではありません。
友人も多くはないですがいますし、会社でも問題なく部署の方たちと交流ができています。

でも、商談をする時に、相手との距離が縮まらない前に本題に入って失敗してしまったという経験があり、ビジネスマンとして、雑談力が低いのは致命傷だと感じるようになりました。
雑談力の本などを読んで見ましたが、どれもイマイチで……。
雑談力を上げるにはどうしたらよいでしょうか?
引き出しの豊富な人間になりたいです……。
(北海道在住、27歳 OL)

 

ご質問誠に有難う御座います。
取引先を相手にするときと、友人を相手にするときで、どのような雑談をすべきかということに違いがあるのはご理解頂けると思います。
「昨日食べたアイスが物凄く美味しかった」という雑談を取引先にしてはいけませんし、「最近の日経平均株価は上昇傾向にありますね」という雑談を友人にしてもいけません。

実は私もご質問者様のお悩みに回答するために、売れている雑談関係の本を何冊か読んだのですが、この観点が抜けているものが多いように感じました。
つまり「相手と自分の関係はなんなのか」ということ。
相手と自分の関係によって、どのような雑談をするべきなのか、ということは大きく異なりますので、そのことにご注意下さいませ。

雑談の目的

さて、それではそもそも「雑談」とは一体何のためにするのでしょうか?
ご質問者様が仰るように「相手との距離を縮める」というのも目的の1つでしょう。「時間を潰したい」というのも立派な目的です。他にも「自分のことをPRしたい」という目的も御座いますし「相手のことをもっと知りたい」というのも目的です。
先ほど関係によって雑談が変わるとお伝えしましたが、それはこのことが原因でしょう。
そもそも目的が違うのですから雑談が変わるのは当然のこと。

例えば友人関係であれば「時間つぶし」という目的で雑談をしていても大した問題にはなりません。
しかしビジネスの場において「時間つぶし」なんていう目的で雑談をしていたら、まず間違いなく交渉は失敗します。取引先との時間を「時間つぶし」などに使うような担当者に仕事を任せたいなどとは誰も思いません。

それではビジネスの場においての雑談の目的は何か。
それは勿論様々なパターンが御座いますが、1つに「自分の能力を伝える」ということが御座います。ビジネスの関係なのですから、誰だって優秀な人に仕事を頼みたいと考えることでしょう。
しかし「実は俺、優秀なんすよ!」なんて言ったら相手からは「こいつは馬鹿だ」と思われてしまいます。ですので雑談を通じて相手の能力を測るといったことが必要になってくるのです。

メッセージを伝える

優秀な商人というのは得てして情報を出し惜しみしないものです。
勿論、隠すべき情報はしっかりと隠しますが、自分が損をせず相手にとって得になるような情報は出し惜しみしないのです。
例えば大手ラブホテル会社の会長が危篤であるという情報を私が得たとしましょう。
私はラブホテルで働いていますが、基本的にはこの情報を自分で活かす方法が御座いません。
しかし、ラブホテルに商品を卸している企業様であれば、その大手ラブホテルの担当者や方針が変わるかもしれない重要な情報になり得ます。
ですので、こういう情報を何かしらの方法で私が入手したのであれば、懇意にしている営業マンにはこの情報を伝えることでしょう。

しかしここで「〇〇の会長さんは危篤らしいので、担当さんは注意をした方がいいですよ」なんていう風には言いません。
「〇〇の会長さんは、最近体が優れないらしいですよ。いやぁ我々も健康には気をつけなくてはいけませんね」というように雑談の体で話をします。
もしこの雑談を聞いて「この人は会長さんが危篤なことを私たちに伝えてくれているんだ」ということに気がつけないのであれば、残念ながらその担当者さんのことを私は信用しません。

どんなメッセージを伝えたいのか

先ほどの「会長さんの話」ですが、この雑談で私が担当者さんに伝えたいメッセージはなんでしょうか?
「健康に気をつけよう」なんていうのは表面上の話。どうでもいいのです。
「会長さんが危篤だから、気をつけた方がいい」というのは、やや踏み込んだ話です。
ここに気がついてくれるとこちらとしても助かります。

しかし本意は違います。
私が伝えたいのは「私は、あなたに有益な情報を提供する気があり、なおかつそれを大きな声で言いふらさないだけの分別もある。
だから有益な情報があったら今度は教えて欲しい。
あなたがそれに気がつかないのならば、私はあなたのことを信用しない」で御座います。
「なんでそんな面倒なことをするんだ! 普通に言えばいいじゃないか!」とお考えの方もいらっしゃることでしょう。

端的にお答えします。
こういうことを「面倒」と言ってしまうような人間のことが信用できないので、相手がそういう人かどうか見分けるために、こういうことをするのです。

逆の立場でも同じです。
仕事である以上、私は相手から「こいつは信用できない」とか「適当にあしらってもいい」と思われるわけにはいきません。
また「非常識な馬鹿だ」と思われるわけにもいかない。
ですので私は雑談で「自分は信用できる人間であり、適当にあしらうことは許さない。そして最低限の常識があり、馬鹿ではない」ということを伝えなくてはならないのです。しかしそれを「俺は信用できる人間であり、適当にあしらうことは許さない。そして最低限の常識があり、馬鹿ではないんだ!」とそのまま言ってしまったら非常識な馬鹿としか思われません。

例えば教養は分かりやすいでしょう。
唐突に「ところで君はシェイクスピアはお好きかな?」みたいな雑談を振ってくる方がいらっしゃいますが、こういう場面で「ええ最近FGOで使っています。エンチャントが優秀ですよね」なんて返事をしたら、その瞬間に相手から「馬鹿だ」と思われてしまいます。
実際には、そんな質問を唐突にしてくる方がどうかとは思いますが仕方がないのです。
そういうことを聞いてくる人間は、そういうことで相手の知能を測ろうとしているのですから仕方がありません。
そこは議論すべき点ではないのです。
人間関係においては、常に相手が審判でありルールブックです。
ルールブックが間違っていると主張する人間にゲームをする資格は御座いません。
その相手とゲームを楽しみたいのであれば、ルールブックを守らなくてはならないのです。

それならば何と回答すべきか。
私はヴェニスの商人以外のシェイクスピアの本をちゃんと読んだことがないので、それ以外のタイトルを出して嘘がバレては最悪。
それではどう返事をするかと言えば「ヴェニスの商人の法に関しての部分では学ぶところがありました。確かにあの本はユダヤ人差別をしているところは評価出来ませんが、当時のヴェニスの商業に関しての先進性を表す名作であることは間違いありません。〇〇さんはどうですか? お恥ずかしながらヴェニスの商人以外に読んだことがないものでして、何かおすすめがあれば教えて頂きたいのですが」というような返事をします。

伝えたいメッセージは「1冊読んでいるくらいの教養はある。またその本から考えを深める程度には知恵もある。しかし、今はあなたがシェイクスピアについて語る場なので、そのステージを用意させて頂きました」

とんでもなく面倒で複雑な返事だと辟易している方も少なくないでしょう。
何でそんなことをするんだ! とお怒りになる方もいらっしゃることでしょう。
繰り返しになりますが簡単です。
そういう風に「面倒だ」と考える方を見つけるためにやっているのです。
ですので「こういうことって無駄じゃない?」と主張することは間違っているのです。
「こういうことって無駄じゃない?」と主張する方を見つけるためにやっているのですから。

ちなみに私は「私の間違いを指摘できない方」と仕事をしたくないので、雑談ではわざと分かりやすく訂正が必要な間違えをしたりします。その間違えに気がつかないのは論外として、気がついて意見言えない方にも重要な仕事を任せません。

雑談が苦手な人間

雑談が苦手な方というのは、この伝えたいメッセージに問題がある方が非常に多いように感じます。
もちろんテクニック的な問題もあるのですが、そもそも「何を伝えたいのか」ということがしっかりと決まっていない方はテクニック以前の問題です。仮に伝わったとしても、その上で「何だこいつ?」と思われてしまうだけでしょう。

例えば「この時間を穏便に終わらせたい」と伝えたい方の雑談は決して踏み込んできません。
すると、その方の思惑通り「この時間を穏便に終わらせたい」というメッセージはしっかりと届くのですが、そんなメッセージが届いてしまった結果「ああ、この人とは契約しない」となるのです。

雑談を丸暗記して鉄板ネタを仕込む方もいらっしゃいます。それは「自分は不安なので雑談を丸暗記してきました。だから奇をてらった返事をしないで下さい。また私は臨機応変に対応する力がありません」というメッセージを持っています。

それがしっかりと伝わります。伝わった上で「じゃあこの人と仲良くする意味はないな」と判断されてしまうのです。

何を伝えたいのか。

それを考えなくてはなりません。
おそらくご質問者様は「相手との商談を成功させたい」と言うことばかりをお考えのことでしょう。
その場合、仮にしっかりと意図が伝わったとして、おそらく相手は「そんなことを考えている人間と距離を縮める気は無い」と判断します。

ですので「このメッセージが伝われば、相手との距離が縮まる」というメッセージを相手に送らなくてはなりません。
それはビジネスの場合では「私は貴方にとって利のある人間です」というメッセージに他ならないのです。もちろん他にもビジネスの場で伝えるべきメッセージはあるのですが、まずは「貴方にとって利がある」で御座います。
それが出来なくては話が始まりません。
それならばするべき雑談は簡単。相手が得をする情報を用意すればいいのです。
それを雑談風にして伝えれば、相手は「この人と付き合うことに意味がある。」と判断してくれることでしょう。
声の高さとか起承転結の作り方とか、そんなのは後回しで構いません。

 

Written by ラブホスタッフ 上野