「結婚しない方がいい」という思想のバランスの悪さ

たとえばバツイチで50歳を超えており、じぶんの生活をじぶんで支えることができるだけの経済力のある女性が「わたしの場合は、結婚しないほうがいいとじぶんで気づいた」と言うのなら、どことなく納得できます。

1度結婚して、あれこれあって離婚して、その後、場合によっては男性とおつきあいして……でも結局「わたしには結婚生活は向いていない」と悟った、という話って、おそらくあなたも納得できますよね?

「結婚しない方がいい」という思想のバランスの悪さ

今の世の中って、ホント便利ですからねえ

若い人が「結婚しないほうがしあわせかも」と思う理由って、たとえば「生活に細かなこだわりがあるから」なんだそうです。

「お風呂からあがったら、誰もいない静かなリビングで30分間瞑想したい、この時間だけは絶対に譲れない」と思っていたら、おそらく結婚は無理ですよね。

結婚したら風呂上りのリビングで子供が騒いでおり、旦那はケツを掻きながら横になってテレビを大音量で見ている……無理ですよね。

ほかにも「自由をこよなく愛している」「家事が苦痛」「生活レベルや結婚相手に妥協したくない」「お金と時間を趣味に使いたい」「恋愛(家族)より仕事を優先させたい」「人づきあいが苦手でストレス」「今、それなりに幸せ」などの理由があるそうです。

まあ、独身生活がそれなりに楽しく充実していたら、こういう考え方を持ってしまうのも、わからなくはありません。今の世の中って、ホント便利ですからねえ。

「結婚しない方がいい」という思想のバランスの悪さ

「やらない理由」はいくらでも思いつく

物事って不思議なもので「やらない理由」はいくらでも思いつくわりに「やる理由」って、そういくつも思いつかなかったりしませんか?

結婚する理由は「ひとりで暮らすよりふたりで暮らしたほうが経済的に助かるから」とか「彼のことが好きだから」とか「この人以上にわたしのことを理解してくれる人はいないから」とか、まあほかにもいくつかあるでしょうけど、それくらいなものでしょう。

結婚しない理由は……先に挙げただけでも8つもあります。ちょこっとネットで調べただけで8つです。もっとも先に挙げたものって「結婚しない理由」というより「したいくない理由」とか「結婚しない言い訳」とも解釈可能なわけですが。

「結婚しない方がいい」という思想のバランスの悪さ

バランスとはいかなることのことなのか?

70歳を超えたある高名なピアニストの女性は、かなりの晩婚(再婚)だったそうです。
ある人に「あなたは独身でもいいのかもしれない。でも、人って男と女がペアでいて、はじめて精神的なバランスがとれるということもあるのよ」と言われて、再婚したそうです。

男と女がペアでいてはじめてとれる精神的なバランス……これについては、春日大社の元宮司さんも、その著書のなかで触れています。

結婚とは「もとに戻る行為である」と、この宮司さんは言います。

命って、お母さんのお腹のなかで男としてでもなく女としてでもなく誕生しますよね。しかるべき時を経て、性別がはっきりする。

つまり命の最初は、言うなれば「男女」です。その男女に「戻る」のが結婚という解釈を、この最高位の神職はなさっています。

「結婚しない方がいい」という思想のバランスの悪さ

神道においては、循環という概念がポイントだそうです。

たとえば魚を食べて骨が残った。これを土にかえすという循環。

あるいは誰かからなにかをもらった。お返しをするという循環。

わたしたちの命も、循環がポイント。血液は循環していますよね? お酒を飲んだら喉が渇いて水を飲みますよね、で、トイレが近くなりますよね。
カラダがバランスをとろうと、必死になって循環している瞬間です。

おそらく結婚もおなじでしょう。「わたしは結婚しないほうがいい」と決めつけるのは、もっともっと歳を重ねてからでいい。今はじぶんの人生のバランスについて考えるべきときでは? 無論、結婚する・しないはあなたの自由です。
が、あなたの人生ではなく、誰かから授かったわが命のバランスについて考えることって、大切では?

なぜなら命は、あなただけのものではないからです。親からもらったものというだけでもない。親の親、そのまた親、その先の親……と続いてきたのが命。ご先祖様がたとえば、応仁の乱に巻き込まれていたら(かなりの人が亡くなった)、あなたはこの世にいない。
満州からの引き揚げ途中に亡くなっても(かなりの人が飢え死にしたり病気にかかったり、場合によってはシベリアに送られ不幸な死をとげた)、あなたは今ここにいない、ですよね?

であれば、命って誰のものでもない、いわば「誰かから一時的に預かっているもの」です。

預かり物はせめてわずかな期間であっても、バランスよく扱おうと思うのも、人生に対する謙虚な考え方ではないでしょうか。

 

Written by ひとみしょう