【恋愛小説】私のカレイドスコープ ~妄想社内恋愛のススメ?~ 第1話 「桃色デジャブ」

~あらすじ~

セリカは、大手家具メーカーに勤める27歳OL。2年前、元カレに浮気されてフラれた過去をひきずりつつ、ときめきを求め、好みの男を見つけてはある妄想をしてしまう癖が。

 

営業部のプレイボーイ、企画部のイケメン上司、人事部の年下男子……と、妄想を駆り立てる相手には事欠かない。

 

めくるめく万華鏡(=カレイドスコープ)のように変わるセリカの脳内ワールド。それは、彼女の現実に恋人を引き寄せるスパイスになるのか?

 

第1話 「桃色デジャブ」

春の朝

柔らかな日差しがカーテンの隙間から差し込んでる。

そろそろ起きる時間。
ゆっくりと体を起こす私。

 

そのキャミソールの胸元に、後ろから突然手が伸びてきて、ぐいっと引き寄せるように私をベッドに引き戻す。

 

「え?  ちょっ……」

「だめ」

 

どこかで聞いたことのあるような男の声。

 

「行っちゃだめ。今日はどこにも行かないって約束したじゃん?」

 

ええ?! 誰?! 私のベッドに男がいる!

「だって、あの、わた、私、会社に……」

「だから、行かせないって」

 

少し笑いを帯びた声が、さっきよりもっと低く、もっと近く、耳元で響く。

男の両手が、背中から羽交い絞めするみたいに私にからまって、ゆっくりと体をまさぐってくる。

左手は胸を這い、右手はみぞおちから下半身に落ちて……

 

「あ……だ、だめ」

 

男の指が、私の太ももの内側をなぞり、パンティーの横からすべりこんで、私の大切な部分をいじりはじめる。
少しだけ残ってた力が抜けて、思わず声がもれる。

 

「く……」

 

この男は誰? 私たち、いったい何やってんの? 
こんなことしてたら、会社に遅れちゃう!

……なんてことは、全部すっとんで、私は頭の中で、ただただ快感を追いかけてる。男の指の動きに合わせて呼吸も荒くなる。

 

「ふふ、セリカ、もう会社になんか行きたくなくなったでしょ?」

「や…だ…もう」

 

男は私の耳を軽く噛みながら、さらに指を激しく出し入れ。

 

「ほら、ほら、気持ちいいだろ?」

「あっ、あぁっ、あ……」

「イっちゃっていいよ、〝天国〟にならね。」

「あぁん……い……いい…いっちゃ…」

 

 

と、その瞬間。

アラームが、私の甘い夢を切り裂いて鳴り響いた。

寝ぼけ眼で『停止』を押して、はーっとため息。

「もー! いいところだったのに!」

私のカレイドスコープ ~妄想社内恋愛のススメ?~ 第1話 「桃色デジャブ」

ランチタイム

最近は、隣の総務部にいる同期の理沙と、私と同じ企画部の先輩・鈴子さんと女3人でお昼を食べるのが日課になってる。

今日は人気のイタリアンに足を運んだ。

 

「で、その夢の男は誰だったの?」

 

理沙が半笑いで尋ねてくる。

 

「わかんないけど……声がね、似てた」

「似てた?」

「元カレのハルキに……」

「あー。遠距離恋愛の挙句に浮気しやがったヤツ! セリカ、まだ忘れられないの? つか、夢じゃなくてデジャヴとか?」

 

慌てて言い返そうとすると、鈴子さんがさえぎるように、

「行列ができるパスタとかいうわりに、そんなに大した味じゃないよねぇ。」

と言い、話をそらした。

 

鈴子さんは独身のアラフォーだけど、お局っぽい感じなんてまるでなく、誰からも慕われてる優しいお姉さまだ。
顔は普通だし、スタイルもそれなり。
アンチエイジングに対しては貪欲で、新しい情報を耳にすると人が変わったようにアクティブになり、地の果てまでも突き進む勢いだけど。

 

理沙は170㎝もあるスレンダー美人で、私と同じ27歳なのに肌年齢はJKなみ。自分の魅せ方を知ってて、男性遍歴は数知れず。
入社当時はいけすかない女だと思ってたけれど、実は体育会系の熱血漢で、仕事は真面目にやるし、あったかいとこあるし、信用できるタイプだってわかってからはなんでも相談できる良い友達になっていった。

 

大学時代から付き合っていたハルキと別れたのは2年前。就職後に遠距離恋愛になり、彼の浮気……が転じて本気になったことで、私の恋は終わった。

 

理沙の言うとおり、確かに今朝のはデジャヴみたいな感覚だった。
まあ、昔は朝のエッチなんてしょっちゅうだったし。

 

だけど一方で、男とああいう感じになる夢を見るなんて、私には日常茶飯事……。

 

ハルキに限ったことじゃない。

 

そしてそれは、夜の睡眠中にみる夢だけじゃなくって、白昼堂々「妄想」という形でも私を襲う。

 

そう、例えば……ランチタイムで賑わう、このイタリアンの店内でも。

 

私のカレイドスコープ ~妄想社内恋愛のススメ?~ 第1話 「桃色デジャブ」

 

 

「私のカレイドスコープ ~妄想社内恋愛のススメ?~」は、毎週日曜日配信!
次回をお楽しみに!!

 

Written by 吉井ベロニカ