お煮しめの由来といわれ
お煮しめは、三段重(本当は五の重まであるのが正式。ただ、現在は、三重の箱が用いられることも多くなっている)の三番目、一番下の段に入れられるものです。
おせち料理の盛り付けや品目数は各家庭によって異なりますが、「三段目は全てお煮しめで埋める」というところもあります。
おせちの中でもっとも多くのスペースを占めるお煮しめは、ある意味ではおせち料理の主役と言えるのかもしれません。さて、この「お煮しめ」ですが、これにはきちんとした言われがあります。お煮しめは様々な食材を使って作られるのですが、昔の人たちは「お煮しめ」に「家族がみんな仲良く暮らしていけるように」「家族の仲が固く結ばれるように」という願いを込めました。
お煮しめには「手綱切り」にされたこんにゃくが入ることになります。これはかつて武家社会であったころ、「馬の手綱を握れるように」「手綱を引き締めるように、自分の心も引き締めよう」と考えられていたころの名残だと言われています。
ただ、この「手綱切り」にはもう一つの意味もあります。それは「手綱のように縁を結ぶ」という意味です。これもまた、上で挙げた「家族の仲が固く結ばれること」に繋がっていると言えそうです。
また、おせち料理の一品として「七宝煮」があります。これは筑前煮の一種であり、7つの具材で仕立てるものです。「7つの具材」が「7つの宝」を意味しているため、縁起物として扱われているのです。
ちなみに七宝煮とお煮しめは、実は異なるものです。どちらも似ているものではありますが、七宝煮に代表される「筑前煮」は煮こむ前に一度炒めたり油で揚げたりします。
対してお煮しめの場合はこの手順を踏みません。また、七宝煮(筑前煮)の場合は必ず鶏肉が用いられますが、お煮しめの場合はこれを入れないこともあります。
ただこの違いはあくまで、「厳密的に分けたときの違い」にすぎません。現在出回っているおせちのレシピの中で取り上げられる「七宝煮(筑前煮)」の中には、炒めたり油で揚げたりといった手間を省いて作られるものもあります。
お煮しめの中に入れたいものについて
さて、ではお煮しめにはどのような具材を入れていったらよいのでしょうか。まず「れんこん」。れんこんは「その穴から未来のことが見通せるように」という意味が込められた縁起物です。花形に仕立てて入れるとよいでしょう。
次に「子だくさん」を表す里芋。里芋の亀甲煮などをおせちに入れる家庭も多いかと思われますが、この時に使った里芋をそのままお煮しめに流用するとよいでしょう。「くわい」も有名な食材です。あまりスーパーで見かける機会のないものではありますが、お正月付近になると比較的よく出回るようになります。
「芽が出る」ということから縁起物とされています。ただ、くわいの場合、一緒に乱暴に煮込んでしまうと芽が折れてしまうので注意が必要です。芽が折れてしまうと、縁起物としての意味がなくなってしまいますからね。
「しいたけ」もよいでしょう。今でこそ低価格で買えるようになったしいたけですが、かつては自然発生したものしかなく、非常に高価なものでした。
新年を寿ぐのに最適な食べ物として知られていたしいたけですから、現在でも積極的におせちに入れていきたいものです。
〈参考元〉
お正月のおせち料理は縁起物のしいたけで!|姫野一郎商店
http://shiitake-himeno.co.jp/blog/518
おせち料理のいわれ|日々是活き生き―暮らし歳時記
http://www.i-nekko.jp/gyoujishoku/fuyu/
煮しめ|JP POST郵便局
http://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/tighten_boiled.aspx
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