上司との会話で……
――男性上司との会話で、配偶者を“夫”と表現したら、小一時間説教をくらった。
随分と保守的な上司ですね。
上司の立場で、「女性部下が配偶者を主人と呼ばないことに腹を立てる」というのはなんなんでしょう。そもそも、仕事とはまったく関係のない問題ですからねコレ。
もしかしてアレでしょうか。自分が家庭で妻から、かなりぞんざいな扱いを受けていて、それについて非常に憤慨しているんでしょうか。
そのくせ妻本人に逆らうことはできず、“男は主人!! 主人を敬え!!!”とばかりに、溜まりに溜まった鬱憤や主義主張を女性部下にぶつけている……のであれば、それはそもそもぞんざいに扱われてしかるべき人物と言わざるを得ません。
友だちとの電話で姑が……
――友だちとの電話で夫を“ダンナ”と呼んでいたら、小耳にはさんだ同居の姑にキレられた。
1番厄介なパターンです。
ほとんどの男性がマザコンの傾向にあるのと同様に、ほとんどの母親は息子離れできない傾向にあります。結婚そのものは祝福していても、かわいい息子が嫁にないがしろにされるなんてことは絶対に許せない。それが母親である姑の本音。
嫁にはいつまでも息子を敬っていてほしい。口には出さずとも、息子よりも一歩下がった目下の立場でいてほしいものなのです。とはいえ、曲がりなりにも円満に夫婦関係を築き、その上、夫の親と同居までしている嫁の立場からすると、
「馬鹿馬鹿しい」
この一言に尽きると言えるでしょう。
近所のおばあちゃんとの世間話で……
――近所のおばあちゃんと世間話してたとき、感慨深げに「今は“主人”じゃないのねえ、羨ましいわ」と言われた。
どんなときも夫を立て、自分の気持ちは押し殺して従ってきた……。そんなおばあちゃんの人生がしのばれる会話ですね。
かつて女性には、「幼いときは父親に従い、嫁げば夫に従い、老いたら子に従う」とされた時代がありました。
そんな女性の謙虚さや控えめさが美徳とされた時代……と言えば聞こえはいいものの、要は、男性にとって都合のいい女性像が、女性のあるべき姿として喧伝(けんでん)されてきたのでしょう。そんな時代を生きたおばあちゃんの、“主人”という言葉に向けたやるせない想い……切ないですね。
ダンナとのケンカで……
――ダンナとケンカしたとき、「俺はご主人様だぞ!!」って言われて一気に冷めた。
これは冷めてもしかたない。それくらいの失言です。
「わたしは奥様だぞ!!」と言い返してほしかったところではありますが、そんな労力を費やすことすら惜しくなるほどの小物っぷり。
この次ケンカしたときにはこの人、「誰のおかげでメシが食えると思ってるんだ!!」って言いますねきっと。ほんの1円でも自分の収入のほうが多ければ、たとえ妻が家事も育児もバリバリこなし、フルタイム勤務で十分な経済力のある会社員だろうと言いますよ、この人。
「この人はずっとわたしを見下してたんだなあ」
そう気付いてしまったら、その瞬間から夫婦の形は確実に変わることになるでしょう。それに気付いたときにはもう手遅れなんですよね……。
独身の友だちとの会話で……
――独身の友だちとの会話で、つい夫を“主人”呼びしたら、「なんか奴隷みたいだね」と言われてショックだった。
この反応は、ある意味やむなしと言えるかもしれません。
“主人”という言葉を日常的に使い慣れた既婚女性と、慣れていない独身女性とでは、同じ“主人”という言葉から受け取るニュアンスが随分と違っているからです。
既婚女性が使う“主人”が、それこそ“夫”とほとんど同様のニュアンスなのに対して、独身女性が抱く“主人”のイメージは、それこそ“支配者”に近いものなのではないでしょうか。
独身時代は同じように遊んだり働いたりしてきた友だちが、結婚したとたんにかつての彼氏を“主人”と言い出したなら、戸惑ってしまうのも当然と言えば当然。
そんな友だちも、いずれ結婚したら夫を“主人”と呼ぶようになるのかもしれませんね。
おわりに
いかがでしたか? 夫をどう呼ぶか……。単純なことではありますが、そこにはその人自身の人生観や想いが秘められています。
ぜひ今回の記事を、あなた自身や周囲の既婚女性について、より深く知るひとつのきっかけにしてみてくださいね。
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