【恋愛小説】シークレット・レイン~禁断の社内恋愛~ 第11話

 

愛を深めていく聖良と敦史。しかし、ある時、聖良のもとに春奈から電話が入り、「敦史のことで話したい」と切り出される。

敦史と春奈の関係を聞かされていなかった聖良は心揺さぶられ……

 

第11話 広がる暗雲(Seira-side)

彼女からの挑戦状

その日、敦史は外回りで不在だった。

私は胸騒ぎを抑えながら、遠藤春奈と待ち合わせしているカフェに向かった。

 

彼女は「わざわざすみません」と頭を下げたが、その瞳の奥には険しい光が宿っていた。

 

「鳴海君のことってなにかしら?」

「単刀直入にお聞きします。部長は、鳴海君とつきあっているんですか?」

「いったい何の話? 彼は私のサポートをしていただけよ。それに、私は結婚しているわ」

「知ってます。でも、そんなことは関係ないんじゃないでしょうか」

「あなたの誤解よ」

「私の実家に頼むことであのトラブルがおさまった夜、深夜の0時過ぎ、部長、彼に電話しましたよね? あの時、私、彼とホテルで一緒だったんです。あんなに遅い時間に何の用事だったんですか? ただの上司と部下だったら、よほどの急用じゃないかぎり、あんな時間に電話するわけない。特別な関係だからじゃないですか?」

 

様々なことが頭をかけめぐった。

彼女と敦史がホテルに行ったことを知り動揺したけれど……あの日、二人の姿を見たから、うすうす感づいてはいた。

それに、今、この瞬間は、彼女にそれを悟られるわけにはいかない。

なんとかしのがなければ……

 

私は眉1つ動かず、落ち着いて切り返した。

「あの時は残務処理に追われていたから、電話が遅い時間になっただけよ。総務部のあなたにはわからないかもしれないけれど、営業部は夜中まで仕事してるのは珍しいことじゃないの」

「そうですか」

と、彼女はあっさり引き下がった。

 

私に電話の理由を聞くという形をとりながら、自分たちが一緒だったということを私に知らせるのが目的だったのかもしれない。

 

「とにかく、すべて誤解よ。私と鳴海に個人的な関係なんてないわ」

「部長はそう思ってても、彼は部長のこと好きだと思いますよ。私、もう会えないって言われてしまいましたから。わかるんです。でも……」

「でも?」

 

春奈は、強いまなざしで言い放った。

 

「私、彼を諦めきれないです。だから、どんなことをしても、彼に戻ってきてもらいます。いいですよね? 今日はそれを言いたくて」

【恋愛小説】シークレット・レイン~禁断の社内恋愛~ 第11話

新たな憂鬱

その夜は、ほとんど眠ることができなかった。

私は、春奈と話したことを敦史には言わないと決めていた。

 

亮介に他に女性がいることを知った時とは比べ物にならないほど、落ち着いている。

 

私たちはあの満月の夜から相手を自分のことのように理解でき、その時々の気持ちも手にとるようにわかる気がしていた。

だから今、敦史が春奈とつながり、彼女を想っているなんてことない……そう信じることができた。

 

帰り際、私は春奈に、尋ねた。

「専務たちに通報したのは、あなた?」

「通報? なんのことですか?」

「私と鳴海があやしいから、二人を離した方がいいって上に通報した人がいるのよ」

「そうなんだ……私じゃないですよ」

彼女は一呼吸置き、

「なんだか嫌だわ。他にもそういうふうに感じている人がいるなんて」

と、眉間にしわを寄せた。

 

その表情は、嘘をついているようには見えなかった。最初はしらばっくれているかと思ったけれど……。

 

他にも誰かが私たちに目をつけているとしたら?

 

彼女は別れ際に言った。

「とにかく、気をつけた方がいいですよ。すべてを失ってしまう前に、考え直してください。」

 

最後までポーカーフェイスで切り抜けたものの、言いようのない不安や恐れが、胸いっぱいに広がっていた。

【恋愛小説】シークレット・レイン~禁断の社内恋愛~ 第11話

オフィスでの緊張

翌日から、心の中では警戒心が高まり、いつも以上に敦史からは距離を置くよう意識した。

誰が見ているかわからない……そう思うと、気が抜けなかった。

 

昨夜、敦史から「明日はどうする?」とLINEが入っていたけれど、私はそれを未読スルーした。

より慎重に。LINEのやりとりや、落ち合う店やホテルも変えた方がいいと直感した。

 

秘書の千葉さんが急病で休んでいたため、いつもは彼女に頼むコピーを自分ですることになった。

私は書類の束を手にオフィスを出て、コピー室に向かった。

 

廊下を進んでいると、後ろから、

「青木部長」

と、声をかけられた。

 

振り向かなくてもわかる。

 

敦史の声だった。

胸が締め付けられる。

【恋愛小説】シークレット・レイン~禁断の社内恋愛~ 第11話

第1話から読みたい人は……
シークレット・レイン~禁断の社内恋愛~
次回をお楽しみに!!

吉井ベロニカの他の記事を読む


この記事どうだった?

0いいね!

0うーん…