「一所懸命」と「一生懸命」どちらが正しい?
結論からいいますと、「一所懸命」と「一生懸命」どちらも間違いではありません。テレビ放送では「一生懸命」が使われています。
現代では「一生懸命」とされることの方が増えています。新聞や雑誌などでも、「一生懸命」の表記に統一されていることが多いようです。
しかし「一所懸命」も、間違った使い方というわけではなく、正しい日本語です。
「一所懸命」と「一生懸命」の違いを知って、状況に応じて使い分けができると、日本人としても大人としても素敵だと思います。
「一所懸命」と「一生懸命」の違いとは
広辞苑で「一所懸命」を引くと、下のように書いてあります。
1.賜った1か所の領地を生命にかけて生活の頼みとすること。また、その領地。「一所懸命の地を没収せられる」
2.物事を命がけですること。必死。一生懸命。「試験を控えて一所懸命に勉強する」
次に「一生懸命」を引いてみます。イッショケンメイ(一所懸命)の転。
あらら……どうやら、「一所懸命」と「一生懸命」には明確な違いはないようです。
「一生懸命」が「一所懸命」が転じたものだとすると、「一所懸命」の方が言葉としての歴史が古いことは分かりました。
「一所懸命」と「一生懸命」の言葉の由来
「一所懸命」は、元々は中世の武士が先祖伝来の所領を命がけで守ったことに由来します。切羽詰まった状態にも使われます。
しかし近年では、「一所懸命」は命がけで何かをするといった意味だけが残りました。もう武士もいませんし、先祖伝来の所領を守るなんていうこともないですからね。
一方「一生懸命」は、「一所」と「一生」が間違えられて、いつしか「一生懸命」となった言葉です。それに伴って、発音まで「イッショケンメイ」から「イッショウケンメイ」に変化していったものだと言われています。
言葉としては「一所懸命」の方が古いのですが、現代では広く「一生懸命」が使われるようになっています。時代に合わせて少しずつ変貌を遂げるのも、日本語の特徴の一つですね。
語彙力アップ! 「一所懸命」の類語を学ぼう
「一所懸命」には、数多くの類語があります。状況やその時々によって使い分けると、語彙力があるように見せることができます。
自分の気持ちにしっくりと当てはまる類語を使って話すことにより、表現力もアップします。
以下は「一所懸命」の類語のごく一部になります。
ひたむき・ひたすら・無我夢中で・一途に・がむしゃらに・他を顧みずに・まっすぐに・一直線に・一心不乱に・猪突猛進に・愚直に・わき目もふらず・一筋に・無心に・しゃかりきに……。
あまりに多くあるので割愛しますが、ざっと挙げてもこんなにたくさんの類語があるのです。
若いうちならいざ知らず、社会人ともなれば同じ言葉ばかり使うのではなく、いろんな日本語の表現方法を知り、状況によって使い分けると「知的な人だな」と話相手に感じさせることができます。
「一所懸命」と「一生懸命」を上手く使い分けよう
「一所懸命」と「一生懸命」の違いはそんなにないことが分かりましたね。
年配の人と話す時は「一所懸命」、年が近い人と話す時は「一生懸命」と使い分けるのも良いですが、二つの発音は似ていることもあり、あまり気にする人もいないかもしれません。
「一所懸命」には「一生懸命」の他にも、類語が多く存在する言葉です。その時々で色んな表現をすることができたら、周りの人とちょっと差がつけられるようになるでしょう。ボキャブラリーは多い方が、やはり恰好いいですからね!
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