「もう絶対に無理だ。諦めよう……。」担当美容師に無謀な片想いをした私が幸せになった方法とは

LINE(ライン)の通知音がなると、がばっと起き上がり淡い期待を胸にスマホの通知画面を確認する。
「なんだ、公式アカウントからか……。」
勝手に期待しては裏切られる。この一連の流れを何回繰り返せば気が済むのか。

彼と最後にやり取りをしたのは1ヶ月以上前。
「完全に脈ナシ」「諦めて次に行ったほうがいい」「このまま連絡を待ち続けても意味ない」頭では理解している。でも、どうしても諦められない…。

彼との出会い

彼との出会い

私が好きになった人は美容師だった。東京の一等地にある美容院で店長をやっていて、わたしより5個上の32歳。指名数は1番多くて2週間前の予約が必須。
今思えば、どう考えても無謀な恋だった。

「こんにちは。コウタといいます、今日はよろしくお願いします。」

THEおしゃれ美容師って感じ、私とは住む世界の違う人だなあ、第一印象はそんな風に思っていた。でも、話をしていくうちに彼の意外な一面が見えてきた。

人見知りなこと、インドア派であること、住んでいるところが近いこと、好きな映画が一緒であること……ちょっとびっくりするくらいに、私達の共通点は多かったのだ。

「次回から予約は、LINE(ライン)でお願いしますね。」

そう言われて、彼と連絡先を交換した私の心は密かにはずんでいた。このときすでに彼に惹かれていたんだと思う。

彼から連絡が来るように

「この前オススメしてくれた映画、すごく面白かったです!」

最初に連絡をしてきたのは彼からだった。担当の美容師さんとそこそこ仲良くなることはあっても、プライベートで連絡を取り合うなんてことは初めて。

ただの趣味仲間として、連絡を取ってるだけかな? 最初はそう思っていたけど彼とのLINEが途切れることはなかった。日常のほんの些細なことをやり取りしあっているだけなのについつい通知を確認してしまう。

でも彼は人気の美容師。期待はしすぎないようにしよう……。そんなある日。

「来週どこか空いてたら、ご飯でも行きませんか?」

彼からついにデートのお誘いが!

「期待してもいいのかな?」
このときの私は完全に浮かれ気分で、二人の関係は順調に進むと思っていた。

彼の態度が急変、その理由は……?

彼の態度が急変、その理由は……?

彼と2回目のデートを終え、今日も楽しかったなぁ……と帰り道を歩きながら余韻に浸っている頃。あれ? 前回は真っ先にお礼の連絡が来たのに、今回はなかなか来ないな……。

試しに私から送ってみると「今日はありがとうございました」と返事が。なんかそっけなくない? もやっとする。

それから彼の態度が急変。明らかに返事は遅くなり、返事が来たかと思えば「そうですね」などの一言二言で終わり。最終的には、既読無視で強制終了。

あんなに毎日連絡を取っていたのに、2日、3日……とやり取りをしない日々が続いていく。

「何か嫌われるようなことしちゃったかな。」
「あのときの発言、失礼じゃなかったかな?」
終わりの見えない一人反省会を開いていると、あっという間に連絡を取らないまま数週間が経っていた。

気まずくて、もう美容院に行くことも出来ない。こんなことになるならただの客として2ヶ月に1回話すだけでよかった……と激しく後悔していると、彼のSNSが更新された。

彼があげた動画にはたくさんの魚がうつっている。誰かと水族館に行っているみたいだ。

………まさか、彼女?

彼の態度が冷たくなった理由として、1番にその可能性を考えるべきだったのになぜ思いつかなかったのだろう。
私の恋が、あっけなく終わった瞬間だった。

辛いのに諦められない……

思えば、彼のSNSには大量のフォロワーがいて、コメント欄にはいつもかわいいアイコンの女の子からコメントが来ている。私は、そのうちの単なる一人でしかなかったのだ。1度でも期待した自分が馬鹿らしい。  

自分と同じような境遇の人たちを見つけて心を落ち着かせようと、ネット掲示板や恋愛記事を読み漁っていた。そこでふと「電話占い」という文字が目に入る。

脈がない人との縁を結ぶ占い?

脈がない人との縁を結ぶ占い?

効果絶大の縁結びで片想いを強制成就。あなたの片想い、ホントに叶います。

普段ならスルーするけど、ついその強い言葉に惹かれてしまった。
スマホから24時間どこでも占いが受けられるサービスかぁ……直接会いもしないのに電話だけで占えるの? と思いながらも、興味本位で口コミを見てみると「彼から本当に連絡が来ました!」という意見がたくさん。

初回無料特典もあるし、試しにやってみようかな……。
神頼みでもなんでもよかったから、すがれるものがまだあるなら賭けてみたかった。

彼の気持ちが知りたい一心で

占い師の先生と電話って結構緊張する……勢いで通話ボタンを押すと、優しい声で温かく受け入れてくれたのが嬉しかった。

「……あの、すみません。今好きな人がいるんですけど、彼の気持ちがわからなくて……占っていただけませんか?」

「わかりました。では、彼の下の名前を教えてくれる?」

「コウタです。」

「コウタさんですね。わかりました。では、あなたを通して彼のことを見ていくので、彼のことを強く思い浮かべてね。」

本名はなんとなく言いたくなかったから、下の名前だけで占ってもらえることにほっとした。

彼の気持ちが知りたい一心で

「……彼、すごくモテる人みたいね? 女性の影がちらついているけどあなたとの縁がぷつんとなくなってしまったわけじゃないわ。むしろ、あなた達はとても強い縁で結ばれていることが伝わってきたの。今は他の女性に意識が向いているみたいだけど、必ず彼はあなたのところに戻ってくるわ。そうね……連絡が来るのはちょうど1ヶ月後かしら。」

名前しか伝えていないのに、彼がモテること、他の女の影があること……的確に状況を言い当てられて正直驚いた。

「彼は今、ちょっと女性関係に苦しんでいるみたい。連絡が来るまでの1ヶ月間は辛いかもしれないけど、あなたからは極力連絡しないほうがいいわ。かえって逆効果になる可能性があるから。」

どうしても彼と連絡を取りたくて、どうでもいいLINEを送りそうになる時がある。そんな私のことを見透かすようなアドバイスにドキッとした。

「あなたは、信じて待つだけで大丈夫。私が彼との縁を結び直してあげるから安心してね。」

なんだかあまりに都合が良すぎないか……?と思ったけど「いい加減諦めなよ。」と言われ続けていた私に、前向きな言葉をかけてくれたことがちょっとだけ嬉しかった。

あれから、約1ヶ月後

「お久しぶりです。もしよかったらそろそろ髪の毛切りに来ませんか?」

本当に彼から連絡が来た。が、誰にでも送っているお客さん向けの営業連絡だった。やっぱり、あの占いは都合のいい言葉を並べ立ててただけなんだ……。

予約のお願いだけして、やり取りはすぐに終わってしまった。

2ヶ月ぶりの彼に、緊張

2ヶ月ぶりの彼に、緊張

美容院当日。その日は仕事終わりの20時に予約をしていた。

連絡を取らなくなってから初めての美容院。緊張するなぁ……平常心を装いながら、勇気を出して足を踏み入れた。

「こ、こんばんは。」
「こんばんは。お待ちしてました。」

緊張している私をよそに、彼はいつも通りの変わらない接客。こんなに動揺しているのは私だけか……と悲しい気持ちになる。1つおかしな点に気付いた。

「あれ?他のスタッフさんは?」

私と彼以外、美容室に誰もいない。

「実は平日は、19時で閉店なんです。他のスタッフは全員帰しちゃいました。」
「え……。」

「騙すようなことをしてしまってすみません。でも、こうでもしないともう二人で会ってくれないかもって思って……。自分に自信がなくて、かっこ悪いですよね。」
「……。」

「でも、自分の気持だけは伝えないと後悔すると思って……僕、やっぱりリエさんのことが好きです。僕と付き合ってくれませんか?」

彼の目がまっすぐにわたしを捉えている。ずっと片想いだと思っていた彼からのまさかの告白。あまりの急展開になんと言っていいか分からなかった私は、ただうなずくことしか出来なかった。

それから……

それから……

コウタと交際してからの日々はあっという間で、もう1年が経つ。彼とは半年前から同棲を始めて、順調に結婚への道を歩んでいる。

「リエっていつも髪きれいだよね。」

最近、色んな人から髪を褒められることが多くなった。それはもちろん、毎朝コウタがセットしてくれるからだ。くるんと丁寧に巻かれた毛先を見るたびに、ちょっとだけ幸せな気持ちになれる。

美容師は付き合ってはいけない3Bなんて言われているけど、私は今彼と一緒にいられて最高に幸せだ。

後から聞いてびっくりしたんだけど、コウタは当時女性のお客さんにしつこくアプローチされていて、誰かとのデートっぽい投稿をすれば諦めてくれるんじゃないかと思って水族館の動画を投稿したんだとか。

先生が言ってた「彼は今、ちょっと女性関係に苦しんでいるみたい。」ってもしかしてこの事だったのかな……?

相変わらず女性に人気だからたまに不安になるけど……。感情が乱れそうなときこそ先生に冷静なアドバイスを貰うことで、彼とうまくやれている気がする。
もう、今となっては迷わずなんでも相談してしまうほど信頼している。

あの時あの占いをしていなかったら、しつこく彼にLINEを送り続けて嫌われていたかもしれない。先生に縁結びをしてもらっていなかったら、今コウタの隣には違う女の人が笑っていたかもしれない。これからもずっと彼を大切にしていこうと思います。

リエさんが受けた占いはこちら

 

提供:Tphereth

Written by 占い大好きコマさん

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