【人生相談】壇蜜を目指して黒髪ロングにしたら「死を覚悟した蛾」といわれました

家族や恋愛、お金や仕事など、日常における悩みは多いもの。ここでは、心理学者の平松隆円さんがマイナビニュースのQ&Aコーナーに寄せられた悩みにお答えします。

今回のお悩みタイトルは、「壇蜜を目指して黒髪ロングにしたら『死を覚悟した蛾』といわれました」です。

■質問

壇蜜を目指して黒髪ロングにしたら「死を覚悟した蛾」といわれました。頑張ってきれいになろうと、髪も肌も磨いてきたのにショックです…。大学の同級生どころか、先輩や後輩にまでそのあだ名で呼ばれるようになりました…。蛾って…蛾って…。もう蛾でいいです。蛾にだっていいところはたくさんあると思います。蛾のいいところを教えてください。思いつかないです。壇蜜の劣化版になることはあきらめます。

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■回答

実は蛾と蝶って、違いがないのです。

壇密さんと同い年の平松隆円です。ここ数年、黒髪が見直されてきました。以前であれば、重たい印象があるからと避けられてきた黒髪ですが、染髪が普及しきったことからの反動でしょうか、黒髪が注目されいます。黒髪、いいですよね。『黒髪と美女の日本史』(水曜社、2012年)という本のなかで、黒髪の秘密について紹介したのですが、平安時代では長く艶やかな黒髪は、美人の証しだったんです。それを「死を覚悟した蛾」とは、失礼な話です。怒っていいと思います。

さて、「蛾のいいところを教えてください」ということですが、そもそも「蛾は汚いもの」というイメージがあるわけです。その一方で、蝶と言い換えると、その言葉には美しいというイメージがありますよね。同じような虫なのに、この扱いの違いはなんなのでしょうか。

そもそも、蛾と蝶って何が違うんでしょうか。じつは、なにも違いはないんです。知っていましたか? 日本蛾類学会によれば、昆虫のなかの鱗翅目(りんしもく)というのに含まれる動物で、昼間の環境に特化して飛翔力の鋭敏なものを蝶とよび、 それ以外のものを蛾とよんでいるそうです。つまり、違いをいうとすれば、主に昼間活動するものが蝶で、それ以外が蛾というわけです。

しかし、昼間に活動する蛾もいますし、反対に夕方から活動をはじめる蝶もいます。明確に区別することはできないでしょう。美しいか汚いかも主観的な評価であり、絶対的ではないわけです。そう考えるならば、「蛾のいいところを教えてください」という相談の答えは、蛾も蝶も同じなんだから、蝶のいいところが蛾のいいところというふうに答えることができるかもしれません。だから、「死を覚悟した蛾」なんていわれても、全く気にする必要はないのです。

ところで、蛾眉という言葉を知っていますか? 古代中国などでは、蛾の触角のような形の眉をしている女性を、美人と考えていました。当時の絵画と蛾の触角の写真を並べてみると、本当によく似ています。そして、この蛾眉という言葉は日本にも伝わり、日本でも蛾の触角のような眉が絵画の中で描かれました。つまり、古代社会では今とは違い、蝶ではなく蛾が美しさを表現する言葉だったのです。

(イラスト: のでこ)

○著者プロフィール

平松隆円…化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを経て、現在はタイ国立チュラロンコーン大学講師。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』(水曜社)は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響をよんだ。ほかに『黒髪と美女の日本史』(水曜社)など。

(平松隆円)

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