過剰な包容力で「何でも許す女」は、男のプライドを傷つける

 「包容力がある女って、時々、息苦しいんだよな」

 男友だちの集った食事の席で、恋愛話になったときに、Tくんがつぶやいた。女性にとって包容力といえば、恋に必要不可欠な神器のはずだけど……。他の男性たちも、「何となくわかるかも」なんて言っている。一体どうして?

■居心地がいいのに息苦しい、その理由

 30歳のTくんの彼女、K美は、2歳上のキャリアガール。見た目も麗しく、美しい曲線を描いた抜群のスタイルに、モードを取り入れつつも色っぽい服装は、いかにも「高値な女」である。一方、話せば気さくで面白いというギャップもあり、恋愛の手練手管にも長けている……30代にしてますますモテている女性の典型のような人。

 友だちの紹介で出会って、軽い気持ちでランチをしたら、あっという間に彼女のペースに巻き込まれ……付き合い始めて、すでに1年。最近では、ほとんど同棲状態。それが居心地のいい反面、時々、無性に息苦しくなるのだという。

 居心地がいいのに、息苦しい? それって意味がわからないというと、Tくんはこんな話をしてくれた。

 お互い、忙しくて深夜帰宅が続き、デートもままならない日々が続いていたころ。やっとのことで二人で休みを合わせて、1週間の海外旅行を計画した。どんなに忙しくて会えなくても、会ったところで彼が疲れて無礼な態度をとっていても、「その旅行があるからいいの」と彼女は文句ひとつ言わずに笑っていた。なのに、その海外旅行も出発直前で彼に大きな仕事のプロジェクトが降ってきてしまい、キャンセルすることに――。

 さすがに、彼女に申しわけなく思う気持ちに苦しみながらも、おそるおそる告げると……。彼女は、ほんの一瞬、曇った顔を見せたものの、すぐに笑顔で、「仕方ないね」といつものような笑顔で受け入れてくれた。そして、彼の背中をさすりながら、ねぎらいと励ましの言葉をかけ続け、その後もずっと優しかった。

 そんな彼女の完璧な応対に、彼はほっとした半面、心の奥で何かがぷつんとはじけ飛んだ。

 「何て言うのかな。『嘘つけ!』って思っちゃったんだよね」とTくん。そのときの彼女の表情や行動にほころびがあったわけじゃない。このときに限らず、いつも彼女はこの調子で何でも受け入れてくれる「包容力のある女」。それがありがたくもあり、息苦しくもあるというのだから、男心って複雑だ。

■「大人な対応がとれる彼女」の何がいや?

 「オレ、気分の波がすっげぇ激しいから、日常的にも彼女にけっこうヤツ当たりしているんだ。それでも、彼女は絶対にオレに対してはキレない。はいはい……って優しくお姉さんらしく受け止めてくれるんだけど……。正直、必要なときは怒られたほうがいい。そんなのヤダ! ってワガママで返されたり、時には彼女の気分もぶつけられたほうが気楽だし、信用できる」

 多くの男性は劣等感が強く、プライドの高い生き物だから、いわゆる完璧な女(本当は、完璧な女なんていないのだけれど)を息苦しく思う。よくある話だ。だけど、どうやら理由はそれだけではないらしい。

■過度な包容力に感じる打算

 「過度な包容力には、女の打算を感じるし、ほんとのところで受け止められている気がしないのだ」と男性たちは言う。

 「だって、仕事や女友だちとのあつれきを話しているときの彼女は、怖さが透けて見える。鬼みたいなところもあるのに、何でオレにだけ優しいの?」
 「包容力さえあれば、愛されるって思いこんでるんじゃないの?」

 そういえば、映画版の『セカンドバージン』にもこれと似たような心理描写があった。17歳も年下の既婚男性と道ならぬ恋に落ちた主人公の40代女性は、紆余曲折の末に手に入れた彼を大切に思うあまり、果てしない包容力を発揮する。彼の弱さもズルさも墜落もすべて、「大丈夫よ」と愛のままに受け入れ続ける。そこにウソはない。彼女が培ってきた強さと深い愛から生まれた包容力であるものの、裏腹に経験値により染みついてしまった、打算やいやらしさもにじんでいたことは否めなかった。

 包容力は、時に、女が自分を守るシェルターになる。ある意味、彼と対等に向き合いきれていないからこそ、包容力でフタをする。ひたすら彼を受け入れることにより、男からあがめられ、優位に立ちたいという無意識な思いもあるのかもしれない。包容力が、愛の壁になることもあるのだ。それで、男性を息苦しくさせたり、二人の間に距離を作った結果、若くワガママな女子にかっさらわれたりもする――。

 女性にとって包容力はあったほうがいい。それは間違いがない。だけど、その包容力は、海ほど無限ではないことを男性たちは知っているし、女性自身もまた知るべきだと思う。そして一方では、自己中なだけではない、魅力的なワガママを身につけたほうがいいと思うのだ。包容力だけでは、恋は続かない。包容力のある女ほど、ワガママになれたら、恋愛の密度はもっと濃くなるはずだと思う。

【恋愛ガイド:芳麗】

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