男と女には「別れどき」がある!?

男女関係において、「別れ」は案外、むずかしいのかもしれない。だが、別れどきを逃して恋を続けてもいいことはない。恋は不条理なものだから、いつ終わりがくるかもしれないと、再認識する必要があるのではないだろうか。

2015年1月、大阪の警察官(26歳)が、不倫相手の独身女性(23歳)を殺害するという言語道断の事件が起こった。この男、一昨年に震災援助のため宮城県に赴任、その際、街コンで大学生だった被害者に出会ったのだとか。

その後、容疑者は大阪に戻り、被害者は追いかけてくるように大阪に就職。彼は前からつきあっていた女性と結婚した。被害者が彼の結婚を知ったのは、SNSでの彼の投稿らしい。ショックだっただろう。

彼女は以前から、何度か別れ話を持ち出していた。だが彼は、「オマエはオレのことがいちばん好きなんだから、別れられるはずがない」などと言っていたとか。惚れた弱みがあったのかもしれないが、そこで女性が「ふざけるな」と別れてしまえばよかったのに……とつくづく思う。男女の「別れどき」、案外むずかしいのかもしれない。

■恋愛ほど不条理なものはない
殺人事件を例に引くのはあまりに不謹慎なので、ここからは一般論。不倫だろうが不倫でなかろうが、男女関係において、別れどきというものはあるのだろうか。

そもそも、恋愛ほど不条理なものはない。つきあうときは、お互いの同意がなければ始まらないのに、別れるときは片方の拒絶だけで成立してしまうのだから。それをわかっていないと、別れるときに揉めごとになりやすい。

昔は、片方が別れたいと言っても、もう片方が別れたくなければ粘って粘って、別れを撤回させたりもした。まだ「ストーカー」という言葉がなかったから、待ち伏せもしたしつきまとったりもした。筆者自身にも若い頃、そんな経験がある。

だが、恋も数回繰り返してみると、相手の「別れたい」思いを、一度は撤回させたところで、結局はうまくいかないのだとわかってくる。どちらかが「別れたい」と思った時点で、恋は死ぬのだ。蘇りはしない。それがわかると、無駄な延命措置はやめようと思えてくる。互いの恋の炎が燃えている間に、燃やし尽くすしかないのだ。結果が結婚になるか別れになるかは、ある意味で時の運。あるいは互いの強い意思が持続するかどうか。

■「別れたい」と思うのはどんなとき?
別れたいと思うのは、他に好きな人ができたとき、相手を信頼できなくなったときなど、人によっていろいろだと思う。

「私は、あるときふと、ああ、もうこの人はいいや、と思うことがあるんです」。チカさん(仮名・31歳)はそう言う。まるで天から声が降ってくるかのように。

「たぶん、つきあっていてもうあんまり楽しくないな、この人と一緒にいても先の展望が見えないなと潜在意識で思うんでしょうね。それが積もって、ある日突然、もういいや、となる。ただ、それを相手にどう伝えるかがむずかしい。嫌いになったわけでも、他に好きな人ができたわけでもないから。それでも、申し訳ないけどひとりになりたい、と伝えます」。

以前、チカさんは自分の気持ちに蓋をして、「もういいや」と思った人とつきあい続けたことがある。その結果、ストレスがたまりすぎて体調を崩した。

「別れたい」と思ったら、別れたほうがいいのだと思う。ひとりになるのが怖いとか、相手に悪いからなどという理由で続けているのは、自分と相手と恋に対して、かえって失礼になるのだから。

■きっぱりと、だが感謝を込めて
しかしこのご時世、別れるのもむずかしい。相手を怒らせずに、できれば恨まれずにきれいに別れるのは至難の業かもしれない。

私が聞くところによると、特に不倫関係の場合、メールで別れを告げる男性も多いのだが、これは女性の怒りに火をつけるので注意したほうがいい。男性は、自分が悪者になりたくない気持ちが強いのか、目の前で騒がれるのが怖いのか、直接会おうとしないケースが目立つ。

だが女たちは思うのだ。「せめて今まで好きだった気持ちを、最後の最後で軽々しく扱わないでほしい」と。

目の前で泣くかもしれない、多少は騒ぐかもしれない。だが、おそらく、女たちは(男もそうかもしれないが)、恋をしている間に、薄々ながらも恋を失う準備はできている。いい関係だったら、おそらく互いにそうした心構えはあるはずだ。

お互いに好きだったのは事実。大人なら、最後まできれいごとで終わらせる必要もある。未練を残さないために、独身同士だったらお互いに罵り合って別れるのも悪くはないが、どろどろになりやすい不倫関係だとしたら、話は別。

「今までありがとう」。お互いにそう言い合って握手のひとつもして別れるのも、いい思い出になるのではないか。

そして、いつそんな別れがきてもいいように、日々、お互いを精一杯愛することができたら、それは恋をまっとうしたと言えるのではないだろうか。

【亀山早苗の恋愛コラムガイド:亀山 早苗】


この記事どうだった?

36いいね!

12うーん…