さあハイヒール折れろ~こんな対談するんじゃなかった~ 第6回 こじらせ男子が恋愛できない理由 -雨宮まみさん(1)

本当のことを知りたいのである。恋愛のことももちろんだけど、女性のことをもっと知りたいのだ――。この連載では、松居大悟が、恋愛猛者の女性たちと熱き激論をかわしていきます。今回はマイナビニュース連載でもおなじみ、『ずっと独身でいるつもり?』著者の雨宮まみさんと対談してきました。

雨宮まみ
ライター。いわゆる男性向けエロ本の編集を経て、フリーのライターに。その「ちょっと普通じゃない曲がりくねった女道」を書いた自伝エッセイ『女子をこじらせて』(ポット出版)を昨年上梓。恋愛や女であることと素直に向き合えない「女子の自意識」をテーマに『音楽と人』『SPRiNG』『宝島』などで連載中。

福岡発、東京経由、こじらせ行き

――意外にも今日が初対面のお二人だそうですね。

松居大悟さん(以下敬称略)「ちょっとビックリしました、想像と随分違うなぁと思って。文章から受けていた印象と、実際にお会いした印象が」

雨宮まみさん(以下敬称略)「そうですか(笑)」

松居「雨宮さんは福岡県の出身なんですよね? 僕もなんですよ」

雨宮「え、そうなんですか!? 私は高校が○○校だったんです」

松居「そうなんだぁ。僕、文化祭に行きましたよ。ずっと男子校だったので、出会いがあるかも……なんて期待しつつ。結構、健康的なイメージがあったんですよ、○○校って」

雨宮「(ため息)私はあの健康的なムードが本当につらくって……! 体育祭が有名な学校だったんですけど、普段はクールな子も、そのときだけ人が変わったようにアツくなるんです。いつもお洒落な男の子たちが急に、応援団の団服に虎や龍を刺繍しろと言ってくるんですよ。あれはすごく人間不信になりましたね」

松居「その頃から雨宮さんはちょっと斜に構えていたんですか?」

雨宮「斜に構えてたわけじゃないですけど、体育祭の時だけみんなの人格が変わって『一致団結!』みたいなことを言い出すノリが気持ち悪くてついていけなかったです。運動か勉強ができる人間には居場所があるけど、どっちもできない人間には居づらい場所でしたね」

松居「それで大学で上京したんですか?」

雨宮「そうですね。福岡県は九州の中でもまた特殊で、九州中のかわいい女の子は福岡を目指すでしょう?」

松居「はいはい」

雨宮「結果的に福岡には美人が集まるから、そこで美人じゃない女の存在意義ってもう、ものすごくないんです。私の友達が”九州でかわいい子は福岡を目指し、気骨のあるブスは東京を目指す”という名言を残しているんですけど、私はそちら側の人間でした」

こじらせ男子が恋愛できない理由

雨宮「これは恋愛についての対談なんですよね?」

松居「そうなんです。雨宮さんは、いわゆる”女子をこじらせて”いるタイプですよね。他人からは美人だと言われるけれど、それ以上にというかそれゆえに恋愛に対して卑屈になってしまった人種――と思っているんですけど、そういうところにシンパシーを感じるものがあって。僕も恋愛はうまくできないんですけど……」

雨宮「それはたとえば思春期につまづいて?」

松居「そうですね。そのままこじらせて、その状態を演劇とかで創作にし始めて、モテない男の話みたいなものを売りにするようになって。でも三年ぐらい前に、それって本当に恥ずかしいことだなと思って(笑)」

雨宮「いい歳して何をやっているんだろうと思いますよね(笑)」

松居「そうなんですよ! それまでは飲み会なんかでも、そういうキャラがウケていたんですけど……でまあ、このままではいけないと思いつつ、どうして恋愛がうまくいかないかというと、異性に対する自信がないからだろうなと思ったんですね。一緒に過ごしている間は、レベルの高いパフォーマンスをしてあげないと、申し訳なく思うというか」

雨宮「わかる気がする! 明らかに自分のキャパシティを超えたプランなんだけど、普通の人はこれぐらいやっているに違いない、そうでないと相手を魅了できないと思い込んでいるから、必要以上に頑張っちゃうんですよね」

松居「高級なレストランを予約して、店員さんにお祝いの演出をお願いしたり」

雨宮「ありますよねえ、どうしても間違った方向に頑張ってしまうというか。お互いに好き同士だったら、ぎこちないデートでも、好きだからこそ相手も緊張しているんだとわかるじゃないですか。だから心を許していいはずなのに、なぜかそこで自分をよく見せようと必死になりすぎて、経験豊富なフリをしてしまう」

松居「そうっすね。実際には『るるぶ』を読んでかじった程度なのに」

雨宮「女性の場合、私も含めてよく聞くのは、セックスで頑張りすぎるということ」

松居「ほうほう!」

雨宮「最初からそこまでしなくていい、というようなことまでしてしまったり。頑張れば頑張るほど単純に逆効果なのに、自分が好かれていることに対して根本的に自信がないから、カラダでつなぎ止めようとしてしまうんですよ」

松居「喜びポイントを稼ごうとして」

雨宮「相手が自分と一緒にいるだけで幸せだとは……」

松居「そうは思えない。相手の時間を貸してもらっているような感覚なんですよね」

雨宮「自分と一緒にいて楽しいんだろうかと不安になって、相手に何らかの見返りを与えようとしちゃうんですよね。」

松居「じゃあ何をしたらいいんだろうかと……こうなってくると完全にこじらせ男子だな(笑)」

肩に手を回すタイミングがダサい

雨宮「恋愛では、相手と日常を共にしたいタイプですか?」

松居「えぇ? いや、うーん、共にしたことがないのでねえ。よくないことだとは思うんですけど、どうしても恋愛を減点方式で考えてしまうんですよ」

雨宮「減点方式?」

松居「最初に相手が自分のことをいいなと思ってくれたときが最高得点の状態なんです。そのときは自分も一番素敵な状態を相手に見せているわけなんですけど、出来上がった作品やこういう仕事そのものに惹かれているんだろうな、というふうにも思っちゃうんですよ」

雨宮「男子クリエイターの悩みですよねえ、あるある!」

松居「でも作る過程のカッコよくない部分は見せていないから、会えば会うほど、情報を与えれば与えるほど、マイナスになっていくんじゃないかなあと思って、不用意に近づけないというか。ずっと好かれていたいから、一番いい状態をキープしていたいと思うと、踏み込めないんですよね」

雨宮「逆にカッコ悪くてツッコめる部分を見せてくれないと、関係が深まらないんじゃないですかね」

松居「うーん。いいカッコ悪さならいいんですけど……」

雨宮「わるいカッコ悪さなんですか?」

松居「そんな気がするんですよねえ、僕の場合は」

雨宮「そうかあ……。何だろうなあ、いいカッコ悪さって。でもそれを考えていると、なかなか近づけないですよね。だって家に呼んだらカッコ悪いところがいっぱいバレますよね?」

松居「家につき合いかけている人を呼んで、その流れで”つき合う”みたいなことにすればいいのに、絶対にできないんです。なんですかね、その、肩に手を回すタイミングがダサいというか(笑)」

雨宮「ああー……」

松居「結局抱きたいだけ、みたいには思われたくなくて」

雨宮「わあ、なんか今日はすごくいい話を聞いた! その逆パターンの相談はよく受けるんですよ、女性から。つき合いたいと思っている男性がいて、男性のほうも自分を悪くは思っていないだろうという状況で、部屋で飲む流れになって、終電も自然になくなったと。ところがいざ寝ようかとなったときに、相手が手を出してこない……みたいな。女性の側も、ただ待っているだけじゃなくて、かなり頑張っているんですけどね」

松居「どう頑張っているんですか?」

雨宮「布団は別々に敷いて、隣同士で寝ているときに、そっと手を握ったとか」

松居「おお! それは結構頑張っている!」

雨宮「でしょう? そこまでやって何もしないとなると、これはもう可能性がないのかなと思ってしまう」

松居「いや、違うんです」

雨宮「アハハハ! 違うんですか?」

松居「逆です。大切すぎて、手が出せない。それが初回だったら特に、ですね。本当にセックスしたいだけだったら攻めるかもしれないですけど、今ここで攻めたらどう思われるかと考えてしまうと……」

雨宮「そうやって誠実な男の子が、ここは大事にいかなきゃと守っている間に、ガツガツしている男たちが! 何のためらいもなく!! 部屋にも行っていないのにガンガン肩に手を回して!!! どんどんホテルに連れ込んじゃうんですよね(笑)」

松居「あれがねえ、許せないんです!」

(つづく!)

<著者プロフィール>
松居大悟
1985年11月2日生、福岡県出身。劇作家、演出家、俳優。劇団”ゴジゲン”主宰、他プロデュース公演に東京グローブ座プロデュース「トラストいかねぇ」(作・演出)、青山円劇カウンシル#5「リリオム」(脚色・演出)がある。演劇のみならず映像作品も手がけ、主な作品としてNHK「ふたつのスピカ」脚本、映画監督作品「アフロ田中」、「男子高校生の日常」、「自分の事ばかりで情けなくなるよ」。近年はクリープハイプ、大森靖子らアーティストのミュージックビデオも手がける。次回監督作は映画「スイートプールサイド」2014年公開予定。

構成: 那須千里

タイトルイラスト: 石原まこちん

(松居大悟)


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